ゼクスギアアウト・レビュー/V15は貼るな!
パワーと威力を引き出すアグレッシブギア
高弾&高反発なカーボンをダイナシェル設計®で使用することで、プレイヤーのパワーを増幅し、相手を打ち抜く威力を手に入れたラケットに仕上がった。
VICTASブランド初のアウターカーボンラケット。
アウターカーボンのラケットは、硬さがあると思われがちだが、この『ZX-GEAR OUT(ゼクスギア アウト)』は弾性が強いので球持ちも良く、性能の高いラケットに仕上がっている。
反発が強く威力重視タイプの選手におすすめ。
※”VICTAS"HPから画像と商品説明を引用
弾みはコルベル~水谷ZLC、打ち手の技量に応えるオールラウンドギア!
ヴィクタス選手から多大な支持を集めるラケット
ヴィクタス契約選手の定番ラケットですね。
以前はカルテットシリーズを使っていた
松平賢二選手、吉村和弘選手もこのラケットに移行しており、どんな性能なのか気になる人も多いのではないかと思います。
アウターALCより弾まないらしい...。
某大手卓球専門店で性能を伺ったところ、アウターALCより弾まないし柔らかい、という回答をいただきました。
他には卓球王国の「用具のこだわり」、ヴィクタスホームページの松平賢二選手、吉村和弘選手のレビューやら動画やらを参考に、本ラケットを購入しました。
集めた情報の中で、
かつて吉村和弘選手は掴むラバー(テナジー)に
弾くラケット(張継科ALC)を使ってバランスを取っていたが、
ヴィクタス契約時に弾くラバー(V15エキストラ)に掴むラケット(カルテットAFC)でバランスを調整していたこと、
最近のプラボール事情から弾き優位のラケット(ゼクスギアアウト)にしたとあったことから、
弾みと球離れは
カルテットAFC<ゼクスギアアウト<張継科ALC(ビスカリア)
位だろうというのが当時の見立てでした。
え、ゆうさんの試打動画?
見ましたよ、もちろん。
使っていたラバーがアレでしたので、
話半分くらいに受け止めた方がいいなと思ったんですよねw
松平賢二選手の感想
自分のプレーの幅を広げてくれる用具』
ZX-GEAR OUTを試した経緯は今年(2020年)の全日本選手権を戦い終えてから、掴む感覚から少し球離れの早い打球感に変えた方が良いと考え、アウターラケットのZX-GEAR OUTを試したのがきっかけです。
使用感は球離れが早い中でも打球感がとても良く、僕の打法でも良い意味で「掴みすぎず」、程よく手に残ってくれる感覚でした。
特にやりやすくなった技術はカウンターと前陣でのプレーです。
自分の意思と同じタイミングで、とっさに来た球もラケットを出せば少し上に持ち上げてくれる感覚でアウターラケットの良さを改めて実感しました。
ZX-GEAR OUTは自分のプレーを広げてくれる用具です。
※"VICTAS"HPから文章を引用
吉村和弘選手の感想
ボールがプラスチックボールになって以降、打球感が「硬め」で球離れが早い中でも、「球持ちがいい」ラケットが良いと感じ、ZX-GEAR OUTは、まさにその通りの感覚を感じます。
大きなラリーでは特にスピードが出て、相手コートの深くに打球することを可能にしてくれます。また、掴む感じもあり前陣でのカウンターでも打球感がとても良いです。
※"VICTAS"HPから文章を引用
Zカーボンについての私見
※"VICTAS"HPから引用
弾きより掴む感覚が強い
数値の上ではアラミドより強度は高いんですけど、弾性が強い = しなり易い性質の方が目立ちます。そのため、
ALC系よりやや弾まずよりボールを掴む感覚がしました。
この感覚はゼクスギアインで顕著に表れていると思います。
Zカーボンの特性を大雑把に説明するなら、
「ZLCに似た打球感で殆どALCの弾みがある素材」
しかし、インナーZLCよりもこちらの方が木材ラケットに近い打球感だと思います。
何故かインナーラケット以上に木材寄りの打球感
ゼクスギアシリーズは全て購入したのですが、
一番特殊素材よりの打球感だったのはインナー、アウターとファイバーはそれぞれ薄い7枚と5枚の打球感に近い特殊素材ラケットという印象でした。
ゼクスギアインナーはラケットにボールが不自然に食い込む感覚があり、
他社のラケットで言えば
インナーフォースレイヤーZLC
ハイブリッドZCインサイド
なんかが近い打球感に感じました。
ビスカリアより硬いかどうか
基本的に、薄目の7枚っぽい打球感だが...。
その人の感覚次第だと思います…。
と言いますのは、ゼクスギアアウトとビスカリアは振動の仕方が全く異なるラケットだからです。
ビスカリアのようなアウターALCのラケットは、中芯が桐であること、アリレートの振動減衰性と相まって弱いインパクトで打球感が手に響きにくいです。
対してゼクスギアアウトはインパクトの強弱で振動の仕方に大差がなく、厚く当てた時には7枚チックな打球感がします。
上記の特性を踏まえると、
アリレートによって振動が掻き消される範囲内での打球ではビスカリアの方が柔らかい、
アリレートでも減衰しきれない強インパクトおいてはビスカリアの方が打球感が硬い、
と判断されてもおかしくはありません。
同じメーカー内での比較なら、ゼクスギアアウトの打球感はダイナセブンよりは柔らかい
と思います。
基本性能
オートマチックに弾むラケットではない
基本的な弾みはインナーフォースレイヤーZLCと水谷隼ZLCの中間、タマスのアウターALCよりは弾みませんが、性能を引き出せればアウターZLC並のスピードと飛距離が出せます。
基本性能については国際卓球さんから頂いた情報通りでした。
と言うか、
こんなに掴み重視のアウターラケットとは思っていなかったです。
球持ちと弾みのバランスが良く、対下回転をクリアするのはインナーZLCより楽です。
オーバーする時も、真っ直ぐぶっ飛ぶのではなく、大きな放物線を描いてのオーバーが多かったですね。
そして面白いことに、打球している側は球持ちが良く感じるのですが、受け手は初速が速く、ボールが直線的だから取りづらいと言っていました。
対上回転では弧線が少し直線的かな、と思いましたが、前中陣ではオーバーミスが減ってちょうど良いくらい。
後陣からの引き返しやドライブ対ドライブの引き合いの時は大きめな弧線を描く印象です。
パワーがなく、アウターの弾みで楽をしていた人はちょっとしんどく感じそうですが、
後述の打ち方が出来れば問題ないかと思います。
定番のインナーラケットを使っていた人には、やや弾みが増したように感じられると思いますが、
アウターに近いインナーラケットを使っていた人からすれば、あまり弾みが変わらないと感じるかもしれません。
ラケットを持った感じでは、
重心が手元よりで重量は88gありますが、
85gのスワットより軽く感じました。
打ち方で性能が大きく変化する
ラケットをしならせて回転をかけると飛ぶ!
基本的には響きの少ない7枚合板のような打球感で、加えた力に対して素直に反応してくれる為、初めて特殊素材ラケットを使う初級者でも変なミスが出ることはないと思います。
ただし、ラケットのしなりを使ってドライブをかけた場合はまた別の性質が現れ、
大きな弧線+アウターラケットの初速とスピードで相手コート深くにボールが突き刺さります。
しっかり打てた時のボールは正にえぐいの一言に尽きますね。
回転、スピード、軌道の全てを兼ね備えたドライブは相手の戦意をも挫きますw
ボールに対するアプローチの仕方でメリハリもつけやすいので、
使い手の技術とパワー次第で多彩な球質とパワーボールが繰り出せるラケットだと思います。
あと、狭い場所より広い場所で打った時の方が弾みが強く感じました。
丹羽選手は試合会場の環境に合わせてこのラケットと自身のモデルラケットを使い分けているようです。
広い会場で飛ばしたいときにはゼクスギアアウトを使うんでしょうね。
相性の良いラバー
・フォア向き
テナジー05、19
ラザンターR48
エボリューションMXP
DNAプロM
Qクオリティー
・バック向き
Q1
Qクオリティー
ロゼナ
V15スティフ
クァンタムXプロ
あまり硬いラバーだと打点が落ちた時のチョリドラが棒球になりがちだったので、
上記のような食い込みが良く、弧線が勝手に出てくれるようなラバーがいいと思います。
ただし、
両面日本製か、両面ドイツ製で統一した方が感触は良かったです。
V15エキストラを勧めていない理由ですが、
「練習をやりこんでないとV15エキストラは厳しい。両面V15スティフで良いかも」
強豪卓球ユーチューバー”ユージくん”でさえ、ゼクスギアアウトとV15エキストラの組合せに難を感じています。
しかも、マシン相手のワンコース練習で。
総評
合わせるラバー次第で初級者から上級者まで使えてプレー領域も選ばない。
インナーZLCに攻撃力を補填、
インナーよりのアウターラケット
上板がはがれやすいため、ラケットコート推奨。
ラバーを貼った後に2,3日ほど日を開けてから打った方がいいと思います。
その方がラケットにラバーがなじんで打球感が手に伝わりやすく感じました。
試合で使ってみた感想
ゼクスギアインとの比較
ゼクスギアファイバー・レビュー
V22ダブルエキストラと相性がよさそう...