ファイヤーフォールVC・レビュー②
完全に二度手間...。
ハイ、本レビューです。
超破壊力のVC
強度の高い防護服や宇宙服に使用されているスーパー繊維とカーボンを編みこんだ新素材Vカーボンを中芯の木材に沿うように使用。その特徴は抜群の強さであり、ボールの破壊力を生むラケットに仕上がった。
VICTAS公式HPより画像と商品説明を引用
アウターに近いインナーカーボンというより、七枚合板?
シリーズ一番人気はファイヤーフォールSC
松下浩二さんが立ち上げたヴィクタスブランド、その攻撃用特殊素材ラケット第一弾がファイヤーフォールシリーズになります。
発売当初の一番人気はファイヤーフォールSCだったようです。
球持ちとか、弾みとかが一番一般受けしたのでしょう。
それから、SCのもっと軽いものが欲しいという声に応えて発売されたのがLCですが、正直SCとLCは別物ですね…。
ACとSC、FCが先行して販売され、後発でVCとLCが同時発売、最後にカチカチのHCの順だったはず。
SC以外は重量が軽め
カタログを見る限りでは重めのラケットのようですが、中芯に桐がつかわれていますので、SC以外はかなり軽量です。
SCのみ中芯がアユースになっており、シルバーカーボンが非常に重い素材なので、どうしてもラケットの重量がかさんでしまうようですね。
私が購入してきた中では、ACが82g、SCが90g、LCが83g、そしてVCが85gでした。
発売当時はバタフライのインナーフォースシリーズのパクリだと言われていたらしいのですが、ブレードの形状や板厚、使われている木材の種類が全く異なっており、他社のインナーフォースの類似品と比べてもかなり個性的な設計になっていると思います。
そして、個性的でありながらもインナーラケットらしいボールの掴みと、似たようなインナーラケットに比べてやや強めな弾みで他社と差別化されています。
ファイヤーフォールVCに搭載されているVカーボンの反発特性はゼクスギアシリーズのZカーボンを上回っており、ヴェンタス社の中では最上位の攻撃力を誇るラケットです。
そのような高い攻撃力のインナーラケットを指して「アウターに近いインナーラケット」というカテゴリーが誕生しました。
アルネイドインナーやハイブリッドZCインサイドなどが該当します。当然このラケットもそのカテゴリーの中に含まれるようですね。
それらのラケットとも性能を比較していきたいと思います。
意外とコントローラブル、7枚合板に近い打球感
勝手に弾まず小技もやり易い
事前情報でアウターに近いインナー、ぶっ飛びラケットなどと言ったレビューを目にしていましたが、軽い力では余り弾みません。
打球感は柔らかめの7枚合板に近く、スワットと同じか少し硬いくらいでしょうか。
7枚合板に近いとは言え、僅かにカーボンらしい打球感、ピリつくような振動の仕方をします。ファイヤーフォールACとLCの中間的な振動の仕方です。
ボールの飛び出し角度はやや上方向。
あまり弾まなかった理由としては、
ファイヤーフォールシリーズはSCを除き、かなり柔らかい木材が使用されています。
加えて、カーボンのポジションがかなり内側にあるため、弱めのインパクトでは木材の打球感と掴みが際立つのでしょう。
サーブレシーブ、台上のコントロールも良好です。
上板、添芯、中芯が柔らかく、カーボンがかなり内側に配置されている
ブレードとグリップの形状は威力重視
グリップの形状は横幅が広めで角張っており、ブレードの形状は楕円に近く先端重心気味なので、ラケットが重く感じます。
裏ソフトラバーを両面に貼ると、前陣での取り回しが難しく感じました。
ラケットの先端に重心があり重く感じるため、ゼクスギアやカルテットシリーズに比べて一撃の威力が出し易いです。
当てれば真っ直ぐ、かければ上に飛ぶ
フラット打法の場合
フラット気味にボールにアプローチした場合の打球感は7枚合板に近いと感じました。
柔らかい木材に高強度の特殊素材を合わせたラケットですが、打球感に一体感があり、自分の加えた力に対して素直に反応してくれる印象です。
インパクトを強めていくとカーボンの打球感が強まります。
強打した時に感じるカーボンの打球感はインナーフォースALCくらいでしょう。
スピードは上がっても、飛び出し角度が上になりすぎないためボールがコートに収まり易いです。
裏を返せば飛距離を出しづらい。
ドライブ打法の場合
対して、ドライブをかけると板厚6.4mmの割にはラケットが大きくしなります。
ボールの飛び出す角度がかなり上方向になり、飛距離が出ました。
回転量もあるため、威力のあるドライブになります。
回転をかけることができた時のボールの質は高いですが、上手く打球出来ない時の補正力は余り高くないです。
私がゲーム練習でこのラケットを使用した際には、思ったよりもボールが上に飛ばずに浅く入ってしまったり、対下回転のボールがネットに直撃してしまうなどのミスが起こりました。
対下回転のループドライブは持ち上がり方、回転量ともに良好でしたが、スピードドライブで打ち抜こうとなると、ボールを掴みきれませんでした。
私の技量では対下回転スピードドライブは難しく感じたものの、角度打ちで下回転をクリアするのは非常にやり易かったです。
中途半端は許されないか...。
対上回転でも中途半端な打球が許されなかったことも踏まえると、打球点が落ちてしまった時はしっかり回転をかける意識を持つべきでしょう。
それか角度を作ってコートに押し込むことに専念するか…。
プレー中に感じたラケットの難しさですが、ラケットの硬さというよりは、先端重心とグリップ形状からくる振り抜きにくさよるものが大きい気がしてなりません。
思い返してみると、上記の難しさを感じたのは殆どフォアハンドでした。
バックハンドはコンパクトにまとめられるから良いのですが、フォアハンドドライブを連打するのは中々辛いものがありました。
ハイブリッドZC、アルネイドインナーと比較すると?
三本を比較すると、ミート性能と台上のストップやツッツキはファイヤーフォールが一番やり易いです。
台上技術の中でもツッツキやストップ、フリックはやり易いのですが、ラケットが重く感じる関係でチキータはやり辛さを感じます。
擦って回転をかけた時の回転の最大値はハイブリッドZCより大きく、アルネイドインナーと同等の回転量でしたが、かけ易さの点では一番下になります。
打点が落ちた時のつなぎのドライブはアルネイドインナーが一番やり易く、質が高いですね。
操作性の面(ラケットハンドリング、ボールコントロール)では、
ハイブッリドZC ≧ アルネイドインナー > ファイヤーフォール
の順となり、ファイヤーフォールで高い質のスピードドライブを打つためは、比較した2本より高い技術とフィジカルが要求されます。
ドライブ主戦の選手なら、アルネイドインナーとハイブリッドZCを選択した方が失敗は少ないでしょう。
まとめ
弾く、擦る、極端な属性の打法は打ち易さと質の高さを兼ね備えていますが、両面に裏ソフトを貼ってしまうと操作性の難が目立ち、予測が外れた時の対応に遅れが生じやすいと感じました。
両面に裏ソフトを貼って振り回すならパワーのある方。パワーがなくてもループをかけてからミートを連打するタイプの選手にもマッチするでしょう。
木原選手は長年このラケットを愛用していますが、バックハンドで威力が出し易く、ボールの飛び出しがやや上であることから表ソフトとの相性が良いのだと思います。
ペン表の方からも良い感想が挙がっていますので、ペン表の方は購入ラケットの候補に入れてみてはいかがでしょうか?
ハイブリッドZCインサイドのレビュー