卓球&雑記from駿河

ほぼほぼ卓球関連

ハイブリッドZCインサイド・レビュー/ラリー戦最強格

 

【最新素材がトップ選手の要望を叶える】
硬質ながらしなやかな新素材「ハイブリッドZC」をインナーに配置したティバーのハイエンドモデルです。スピードとパワー、そしてコントロール性能を兼ね備え、前陣でのドライブ速攻だけでなく、中陣からの伸びのあるドライブも放つことができます。

http://www.tibhar.jp/blade.htm

公式サイトから説明と画像を引用

 

 

球持ちと、相手ボールの押されなさを両立

前置き

 

最近までティバーのラケットと言えば、サムソノフシリーズや高強度と高引張性が特徴の特殊素材”ダイニーマ”を搭載したフォーティノシリーズが看板ラケットでした。

 

安価で性能の良いラケットが揃っていながら宣伝不足でイマイチ浸透しないという残念な状況が続いていました。

その状況が変化したのは、ティバーが日本法人を立ち上げ、G.C.フォースター氏がゼネラルマネージャーとして日本での販売に携わるようになってからでしょう。

日本人ウケする用具を開発し、YouTubeSNSを積極的に活用して商品の宣伝を展開しました。

 

特にラージボール日本一の"わった"こと池田亘通氏が使用しているラケットとして一躍脚光を浴びたのが、ハイブリッドACインサイドと、今回レビューするハイブリッドZCインサイドになります。

 

特殊素材の名称はそれぞれハイブリッドACとハイブリッドZCとなっており、それが名前の通りにインナーに配置されているラケットです。

 

発売当初のカタログには板厚6.0㎜と記載されていましたが、WEBサイトには板厚5.8㎜とあり、お問い合わせしたところこちらの方が正しい板厚のようです

 

第一印象は微妙...。

アルネイドインナーとも比較してみた

 

第一印象はイマイチでした。

事前情報ではアウターに近いインナーラケットと聞いていたので、反発力も飛距離も相当出ることを期待していましたが、思った以上に弾みはおとなしく感じました。

 

軽く打っただけでガンガン球が走るタイプのラケットではありません。

 

打球感は木材のように球を持つというよりは、トランポリンのようにボールが食い込んでグニィッと掴んでからボールが発射される独特な感覚です。

そして、ボールの飛び出しも球持ちの割には真っ直ぐです。

 

ラケットのしなりが思ったより少ないからか、あまりボールが上に飛ばず、後ろから打った時にボールが浅くなりがちでした。

 

同じアウターよりのインナーと評される、アルネイドインナーの方がボールのスピードや飛距離が出ます。

 

正確には、アルネイドインナーの方がラケットのしなりがあるため、少ないパワーでドライブのスピードや飛距離が出し易いということになります。

 

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しっかり振れれば何でも入る感覚

相手のボールに押されない

 

軽く打っているだけではこのラケットの性能を実感できませんでしたが、相手の強打を受けた時や大きなドライブラリー、対下回転の強ドライブでこのラケットの真価が発揮されると思いました。

 

ラケットがボールをしっかりと捕まえながら、相手の回転の影響を殆ど受けずに返球できるからです。

球持ちの良いラケットは相手の回転の影響を受け易いですが、このラケットは球持ちの良さと回転影響の少なさを両立しています。

 

更に、相手の予測を上回る回転や伸びのあるボールになります。

これは食い込んでから弾き返す素材の特性が活きているのだと思います。

 

打球感は素材より

 

注意点として、球持ちの良さは素材の性能に起因しているため、打球感は特殊素材の主張が大きいです。

木材でボールを"持つ"というよりは、インナーに配置された素材で"ボールを掴む"感覚になります。

 

ゼクスギアアウトと打球感を比較しても、ハイブリッドZCインサイドの打球感の方が特殊素材の主張が強いと思いました。

 

これは長年木材ラケットを愛用してきた筆者の感覚であり、

インナーフォースレイヤーZLCを愛用している方にも打ってもらったところ、ハイブリッドZCインサイドの方が木材の打球感に近いとの感想をいただきました。

 

打っているうちにラケットのしなりを効かせられるようになりましたが、それでも食い込ませて打った方が性能を活かせると思います。

 

台上が難しい!合わせるラバーが難しい!

あちらを立てればこちらが立たず

 

台上の細かい技術が難しかったです!

優しいタッチでもボールを掴んでくれるんですけど、その後にポン!と飛び出してしまうのでストップが浮きやすいです。

これまたゼクスギアアウトの方がストップやツッツキはやり易い…。

 

回転の影響自体は受けにくいんですけどね…。

合わせるラバーを硬くすれば浮きやすさも改善すると思います。

 

すると思うのですが、ラバーを硬くすると使いこなす難易度がかなり高くなりました。

素材の特性上、勝手にボールがラバーに食い込むのでボールが落ちることは無いのですが、相当インパクトを強くしないと棒球になってしまいます。

 

かと言って、あまりに柔らかいラバーを貼ってしまうと食い込みすぎてボールが落ちやすくなります。

 

ラケット自体の重量もそこそこあるので、ラバーと合わせた時に重くなり過ぎて振れなくなる事もありました。

 

以上のように、合わせるラバーの難しさからこのラケットの使用を断念しました。

 

当時の落とし所は、フォアにクァンタムXプロとバックにQクオリティーの組み合わせです。

フォア、バック共にこれ以上硬くなると実戦で使うのは苦しく感じる難易度でした。

 

私にもっとパワーとスイングスピードがあれば良かったのですが…。

 

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まとめ

 

インナーラケットの中では比較的難しめとはいえ、対下回転ドライブやブロックといった初中級者にとってウェイトの大きい技術はアウターALC系より格段に楽です。

 

インナーフォースレイヤーZLCとテナジー05の組み合わせより、ハイブリッドZCインサイドとクァンタムXプロの方が対下回転はループもスピードもやり易く、対上回転もボールが走りました。(筆者はテナジー80以外苦手です)

対下回転と対上回転の両方をハイレベルでこなせるポテンシャルを持ちながら、一定の使い易さが確保されています。

 

しっかり打ち込めるならアウターのラケットにも負けないどころか、威力と安定性の総合力で優位に立つことも可能です。

 

しかしながら、ラケットの性能に助けてもらうというよりは、自分の技量でラケットの性能を引き出してあげなければならない側面が色濃く、上級者向けである事には変わりはないと思いました。

 

最後に、上板がかなり脆いのでラケットコートは必須!

できればブレードサイドもコーティングして下さい。端っこからポロッと欠けますのでw