ソリッドプロ・レビュー/アルティウスの上位互換
速さと威力が特徴のインナーファイバー
来年入荷予定のソリッドプロを入手
10月に注文を入れて待つこと約二か月、ついにソリッドプロを手に入れることが出来ました!
ダーカーさんにお問い合わせしたところ、ソリッドプロの再入荷は来年一月を予定しているという回答でした。
その予定を大幅に繰り上げて、12月中旬に納品していただいた企業努力に、感謝の念が尽きません。
そう言えば、ソリッドプロは中国工場での生産なんですね。
このご時世、木材の入手が困難なだけでなく、コロナ政策が日本より厳しい中国でのラケット製作...。ご苦労痛み入ります。
「中国製」ということですが、品質には全く問題はありませんでした。
寧ろ、スウェーデン製のラケット、高級ラケットで知られるスティガのカーボネードシリーズより品質が良いのではないでしょうか?
カーボネード45を購入した際、「グリップの塗装が雑だなぁ。」という感じで、値段の割に質感がそんなに良くなかったんですよね…。
そもそも、普通に使って板剥がれする製品を出してくるのがあり得ない。
木材の良さを活かすのは保護ニス込みでお願いしますよ。
ソリッドプロは、グリップ部からイザナスファイバーが毛羽立ってはみ出ている所もあったりしますが、日本製のゼクスギアシリーズも同じようなものです。
中国製でありながら、日本製レベルの品質のラケットということで良いのではないでしょうか?
ブレード、グリップについて
ブレードサイズは公表値で157*150となっているのですが、同じブレードサイズのはずのゼクスギアインからラバーを移植した際、側面から頂点にかけてラバーが若干余りました。
ゼクスギアインは極端な話、四角に近いような形状で、ブレードの頂点から側面にかけてのRが小さいです。
それに対してリッドプロは、頂点から側面にかけてのRが大きく、楕円に近い形状で、157*150サイズのラケットの中でもブレード面積が抑えられているようです。
ラケットにラバーを貼った時の重量も通常より軽くなりますし、空気抵抗が感じづらいため、非常に振り抜きやすい形状だと感じました。
グリップの形状は、インナーフォースレイヤーシリーズやスワットシリーズと比較すると、厚みがややある替わりに横幅が狭くなっています。
どちらかと言えば、ビスカリアのグリップに近い?
同じような形状のグリップはお目にかかったことはないですが、ラケットの角度を安定させつつ、プレー中に打法毎の握り替えがしやすい形状だと思います。
打球感
ラケットが届いたら真っ先にすることと言えば、球突きですよね~。
私なんか、暇さえあればラバーを貼っていないラケットでこんこんやっています()
もう、一日中球突きしていられますね(病気)
さてさて、球突きをしてのファーストインプレッションですが、
「硬い!音が高い!弾む!」と言うものでした。
イザナスファイバーは性質としてZLFに近い素材のようで、当然ZLC系の素材が入っているゼクスギアインよりも柔らかくて弾まないはず。
弾まないはずなんですが、ゼクスギアインと同じくらい弾むし、打球感はもっと硬いんですよね~、不思議...。
旧ロットのものに比べて、素材をより密に編んで、接着剤の種類を変えたことが原因なのでしょうか?
かと言って、特殊素材の打感は微塵も感じません。噂通りの打球感です。
ここで気を付けてほしいのですが、ソリッドプロの打球感は「中芯が桐のラケット」のそれです。(中芯が桐だから当たり前)どんなラケットの打球感に近いかと言われれば、アルティウスST5が一番近いのかと思います。あれの、芯がめちゃくちゃしっかりしているバージョンといったところでしょうか。
私の勝手なイメージなのですが、木材の打球感にこだわる方って、中芯が桐のラケットの打球感が嫌いな人が多い気がします。
特に、スウェーデン製の木材ラケットが好きな人にとって、桐のラケットは論外なのでは?私の勝手な想像に過ぎないですけどw
スウェーデン製の打球感に近いものが良いならゼクスギアファイバーの方が良いでしょう。しならせて飛ばすラケットなので、打ち方も合うでしょうし。
ソリッドプロは、しなり過ぎず、しならなさすぎずといった感じで、ドライブとミートのバランスが良いタイプですね。(ゼクスギアファイバーは、ラバーを選べばミートがやり辛いと言う訳ではない)
ゼクスギアシリーズと比べての性能
打球感硬い
スピード
ソリッドプロ(初速が速い) ≧ ゼクスギアイン > ゼクスギアファイバー
弾み、飛距離
弧線高
球持ち
おおよそ球突きの印象通り、硬くて弾んで真っ直ぐ飛ぶラケットでしたね。
その中でも、ボールのスピードは特筆するものがありました。
単純な反発力の強さに加えて、球離れの速さと弾道の低さと相まった球速、受け手の体感スピードはゼクスギアインをしのぎます。
ゼクスギアシリーズは「ボールを持って、上に飛ばすラケット」ですが、ソリッドプロは「最低限ネットを越える弧線を描いて、ボールを前に飛ばすラケット」と言ったところでしょうか。
インナーファイバーのラケットでありながら、打ち抜きに行った際のボールのスピードやボールの重さはアウターのラケットに近いものがあると思いました。
xiomの「ストラディバリウス」というアウターアラミドカーボンのラケットがありますが、あれを使っていたときと球筋がよく似ており、アウターのラケットのような鋭いボールが出るのに安定するので不思議な感覚でした。
ストラディバリウスはアウターalc系の中では比較的弾みが抑えめで、ブレードサイズもやや小ぶりで小回りが利く前陣ドライブ型向けのラケットです。
5.7mmと薄めのラケットで、アウターのラケットでありながらしっかり回転をかけに行った時のループドライブの回転量が特徴です。
ループドライブの最大回転量は、しなりが強くてブレードの硬いストラディバリウスの方が上です。
価格も手頃なので、興味がある方は手に取ってみて下さい。(一月に値上がりしますけどw)
アルティウスST5と比べての性能
アルティウスST5と比べて、
スピード
ソリッドプロ > アルティウス
弾み、飛距離
ソリッドプロ > アルティウス
弧線高
ソリッドプロ > アルティウス
球持ち
ソリッドプロ > アルティウス
ゼクスギアとアルティウスとの比較で、球持ちが悪くて回転がかけづらそうなイメージを持たれるかもしれませんが、ゼクスギアが持ちすぎるだけです。
ゼクスギアは「ひたすらボールを持つ!あとは自分で飛ばしてね」というラケット。
それに対してソリッドプロは「いい感じに持って、いい感じにボールを離してくれる」ラケットになっています。
ソリッドプロとアルティウスST5をまともに比較すると、ソリッドプロが完全上位互換になりますw
ソリッドプロの方が威力が出るのに安定しちゃうんですよね。(スイートスポットの広さで打ち損じが少なくなる)
ソリッドプロの方がしなりがあるため、対下回転でボールを持って弧線が作れたり、打球感覚がはっきりしていて台上プレーがやり易かったり...。
個人的に、アルティウスST5からのステップアップをするなら、アルティウスインナーやアルティウスコンボを選ばすソリッドプロを選んでほしいです。
今ST5を使っていて、不満に思っているところを解消しながら、あまり打球感を変えずにプレーできると思います。グリップはソリッドプロの方が細いのでそこだけ気を付けていただければ。
試打を終えて
当初は、ちょっと試打をしたらメルカリに放流してしまおうという魂胆だったのですが、あまりに性能が良いのでメインラケットに据えるか本気で迷っています。
ちまたでの評判が良かったので期待値も高めだったのですが、そこをしっかり超えてくるあたり、マジモンの名品ですね。
合わせるラバーは05系を選ぶのが無難だと思います。アウターのラケットに対するラバーを選ぶようにするくらいでちょうど良いでしょう。
少し気になるのは、以前のニッタクボールの時と比べて、抗菌ボールではスピードが落ちることです。
逆に、他のラケットであったようなネットミスや回転量の減少は気になりませんでした。
なんやかんやで100点が95点になったくらいで収まっているかと。
まぁ、100点だなんだと言うのはあくまでも私の基準であって、回転量や球持ちを最重視する方や、アウターラケットが好きな人にはあまり好まれないんでしょうね。
※上板が剥がれやすいという報告をいただきました。ラケットコート推奨です!
二本目を買ってみたら別物やんけ...
あの後ソリッドプロはめでたくメインラケットへと昇格しまた。
気に入ったラケットはもう一本欲しくなってしまうのが卓球人の性というもの。
国際卓球さんでセールをやっていたのでサブラケとしてもう一本、86gのものを購入したのですが、これが一本目とはまるで別物でした。
一本目に比べて柔らかい打球感、高い弧線としなりによる球持ち…。
飛距離は一本目と比べて変わらないのですが、より弧線を描くため、相対的にスピードが遅く感じますね。
逆に、引き合いの時はラケットのしなりを活かして大きな弧線で飛ばせるので、相手が取りづらい深くてホップする球質を出し易かったです。
この二本は本当に同じラケットなのかと疑ってしまうほどでしたが、上に上げた特徴こそが本来のソリッドプロの性能なのでは?と思いました。
一般的な評価基準だと、私が一本目に購入した個体はハズレに該当するのかなぁw
こういうことがあるからラケットは実店舗で買った方がいいんですよね〜。
グリップの太さや厚さも一本目に比べて厚め太めでした。
そうなると普通はグリップ重心になるんですけど、この個体は結構な先端重心でした。
ラケット単体の弾みやスイートスポットの広さは二本とも大差がなかったので、そこら辺の管理は流石と言ったところですが、ラケットとの出会いは一期一会であることを思い知りました。