ハイブリッドK3・レビュー/オールラウンダーな粘着
ハイブリッド K3
\8,470(税込)
粘着系テンション OFF+
2.0/max 硬度:53
Speed 118 Control 100 Spin 130ハイブリッドK3は、これまで同時に実現できないと思われていた特性を兼ね備えています。
「強烈な回転、弧線」と、「強い反発性能」が一枚のラバーに内包されていることを、実感できるでしょう。
強いバックスピンやトップスピンも難なくかけ返せる感覚を与えてくれるトップシート。速い打球を生み出すハードスポンジ。高性能ラバーは、コントロールやコース取りが難しいものですが、K3を使えばマスター出来るでしょう。
K3の無限の可能性を体感してください。※ティバージャパンHPから商品説明と画像を引用
スピードと飛距離の出る粘着テンション!
ラバーの質感、重量
重量
レギュラーサイズのラケットに貼って49gでした。
53度と言う硬度から考えると軽量であると言えるでしょう。
スポンジの質感
スポンジの質感が独特で、スピンテンションラバーによくある大きな気泡のものと、粘着ラバーによくある気泡がほとんど見当たらないものの中間といった感じでしょうか?
パッと見は、同社のスピンテンションラバーである「クァンタムXプロ」のスポンジと非常によく似ていると思いました。
クァンタムXプロと同様の気泡サイズで、より硬いスポンジを採用しているのかもしれません。
クァンタムXプロのスポンジの特徴として、コシが非常に強く、反発とボールを持つ性能のバランスが高いことだと思います。
粘着ラバーは球持ちと回転力を重視する一方で、ある程度の弾きや硬さがなければ非常に使いづらくなります。
クァンタムXプロのスポンジはそういった点では粘着ラバーとの相性も良く、このハイブリッドK3にも硬度違いのものが搭載されていても不思議ではありません。
シートの質感
パッと見では粘着ラバーとわからない程度の微粘着ですが、ラバーに息を吹きかけて手で伸ばした時の感触で粘着ラバーなのだと確証が持てました。
シートはあまり硬くなく、粘着ラバーとしては薄目のため、打球した時の跡がラバーに残り易いと感じました。
それでも寿命はスピンテンションラバーと一線を画し、おおよそ4か月の使用に耐えたという報告もツイッターで挙がっていました。
試打篇
軽打
53度と言う硬度と微粘着の影響で、軽打でのボールの飛びはかなり抑えられています。シートが柔らかいため、ごく軽いインパクトでもボールが上がってくれますね。
あまり打球感が手に響かない部類でしょうか?
この時点での体感硬度は50度程度に感じられました。
フォアハンド
ドライブに関しては、テンションラバーの打ち方、粘着ラバーの打ち方のどちらでも対応できると思いますが、
癖のあるボールになるのは面を開いて当て擦る打ち方をした時でした。
純粘着ラバーのようにぶち当てる打ち方で、直線的なボールと高い弧線のボールの打ち分けができます。
一番好感触だったのは上回転のラリーで、相手の回転を利用できているときの球速はテンションラバーのフラグシップモデルに引けを取りません。
同社のエボリューションMXDと同等レベルの速球を打ち込むことが可能です。
一方、相手の死んだ球に対して質の高いドライブを打つためには、硬度相応のスイングスピードを求められると感じました。
対下回転ループドライブの回転量は流石粘着ラバーと言ったところです。
しかしながらスポンジへの食い込みが少なく、とっさの反応でスイングが鈍るとテンションラバーよりも持ち上げるのが大変です。
インパクトが強ければ回転の影響を受けない性質があるので、下回転のボールをスピードドライブで強引にねじ込むことも可能です。
スピードドライブは直線的な弾道と相まって非常に決定力がありました。
対下回転に関しては、ループドライブ、スピードドライブに関わらずインパクトをしっかりしなければミスが増えると感じました。
相手の回転の影響を受けづらく、直線弾道で相手コートに刺し込むような対ループのカウンターは安定。
当て擦りでボールを飛ばした時の飛距離と弧線が相当出るので、引き合いでも強さを発揮します。
直線弾道を作り易く、回転の影響が少ないということで、ミート系の技術は粘着ラバーの中ではかなりやり易い部類だと思います。
球質もナックル性のボールになり易く、失速も少ないため、決定力も高いと感じました。
フォアハンドで使用した場合、
ファーストインプレッションでは実際の硬度よりも柔らかく感じましたが、オールや試合形式では微妙な使いづらさが気になりました。
昨今の粘着テンションラバーの中では、直線弾道の作り易さと球速の速さによる、圧倒的な決定力の高さが特徴です。
バックハンド
松平健太選手がバックハンド面に使用中と言うことで、一応バックでも試打してみましたが、実戦形式の中ではこちらの感触の方がよかったですね。
その理由として先ず挙げたいのは、下回転のボールの持ち上げ易さです。
フォアで使った時とは一転して、下回転のボールが楽に持ち上がると感じました。
初中級者にとって対下回転のバックドライブは鬼門ですので、この性能は非常にありがたい。
テンションラバーで持ち上げ易いものは、テンションならではの弾みの強さも相まってオーバーミスのし易さにもつながることがあります。
このラバーは勝手に弾まず弾道のコントロールもしやすいため、持ち上げ易いだけでなく、オーバーミスもし辛いと思いました。
上回転のボールに対する強さはフォアハンドで使ったときの印象そのままです。
ネックだった死んだ球に対しても、フォアハンドで使っていた時よりも良いボールを打ち込み易く感じました。
全体的に、ファオハンドよりバックハンドの時の方が楽にボールを飛ばせていたと思います。
でも、バックに重いラバーを貼るとラケットを振り辛く感じるんですよねぇ...。
重さがネックでバックのラバーには選出できませんでした。
台上、レシーブ
粘着ラバーらしく、ストップレシーブの止めやすさが際立っており、
スピンテンションと比べて回転の影響も少しだけ少ないように感じました。
レシーブの中でも難易度の高い、フォア前に来た逆横回転系のサーブに対してのストップレシーブもし易かったですし、
短く止めようとすると、勝手に切れたストップになっていたようです。
フリック系の技術のやり易さについては、スピンテンションと粘着テンションの中間から少しテンション寄りでした。
インパクトを強くすれば多少の回転の影響は無視できますし、粘着と言うことで飛距離も抑えられているため、フリック強打に安定感がありました。
ナックル系の球質が出し易いのもグッド。
サーブ
スピンテンションと比べて引き攣れが少ないため、回転をかけている感覚が希薄ですが、実際にはしっかりとかかっているようです。
回転量としては、ハイエンドモデルのスピンテンションより少しかかるくらい。
ショートサーブはキッチリ台に収めやすい一方、ロングサーブのスピードと深さが出しづらいと感じました。
まとめ
昨今の粘着テンションの中では、際立ったスピード性能と飛距離、そして直線弾道の出し易さによる決定力の高さが特徴のラバーだと思います。
53度と言う高い硬度の粘着ラバーでありながら打ち方も選ばず、粘着ラバー向きの当て擦り打ちをすれば癖球もしっかり出てくれます。
このラバーが粘着よりか、テンションよりかは意見が分かれているようですが、私の感覚では粘着よりのラバーになると思います。
日本人にとっては粘着ラバー=キョウヒョウで、「かちっ」とした打球感でなければ粘着ラバーとして受け入れられない人もいるようですが、本場中国ではキョウヒョウ以外のシェアも大きいです。
このハイブリッドK3の打球感や性能は、中国でも名の通ったフレンドシップのラバーに近いものがあると感じましたので、それを以て中国ラバーらしい=粘着ラバーらしいと評させていただきました。
スポンジの硬さによる難しさはありますが、粘着ラバーの長所を可能な限り引き出しながら、欠点は可能な限り抑えた優秀な粘着ラバーだと思います。